「骨盤が歪む」という言葉をよく聞きますが、実際のところはどんな意味なのかご存知ですか?骨が曲がっているのか、姿勢が悪いだけなのか・・・。
今回は、この骨盤の歪みについてお伝えします。
結論からお伝えすると、骨盤が歪むというのは骨が曲がっていたり歪んでいるという意味ではありません。骨が曲がったり歪んだりすることは骨折や骨折の後に曲がった状態でくっついてしまった状態になります。
実はすべての骨で真っ直ぐ一直線のものはありません。これは、衝撃を逃すための構造をしているからです。背骨もS字カーブになっていますよね。衝撃を吸収し脳にダメージが伝わらないようになっているのです。
話を戻します。では、骨盤が歪むという状態はどのような状態なのでしょうか。例えば、写真を撮るといつも肩の高さが違うとか無意識に顔を傾けてしまっているということがあります。これは、首から肩についている筋肉が縮んで肩を持ち上げたり、首を傾けたりしているということですが、骨が歪んでいるわけではありません。骨盤の左右の高さが違うというのも同じ。別に足の骨の長さが大きく違うということではありません。(変形性股関節症など骨に変形等がある場合を除きます)
これが歪みの意味です。
筋肉は骨から骨にスタート地点とゴール地点が決まっています。筋肉の付着部のスタートをA、ゴールをBのようにです。でも、筋肉が過剰に収縮したり、日常生活で癖がついてしまうと筋肉が骨を引っ張って姿勢が変わってしまいます。この姿勢が変わった状態のことを歪みと呼んでいます。
骨盤が歪む理由はいくつかあります。例えば、デスクワークの際にパソコンの画面が目線より上にあったり、右側に配置されていたりすると自然にそちらばかりを向くようになります。それがいつしかクセになり右側を向く姿勢がいつもの姿勢になってしまいます。他にも、筋肉の柔軟性がない、前後左右の筋肉のバランスが悪く一方に引っ張られやすいなどです。
つまり、左右や前後の筋肉の縮み具合に大きな差が出ることで筋肉が骨を引っ張り姿勢が崩れます。そして、それが当たり前の状態になってしまうのが歪んでいるということです。
では、歪みを改善するためにはどうしたらいいのでしょうか。
1 現状を知る
まずは自分の体が今どのような状態にあるのかを知ることが大切です。自分一人で全て確認するのは難しいですが、左右や前後のバランスや歪みを知ることから始まります。
2 問題のある筋肉を見つける
歪みやバランスの悪い部分が見つかれば、その原因になっている筋肉を緩めたりストレッチをしたりして本来あるべき位置に戻すようにしていきます。エクササイズなども有効です。
3 これらと並行して日常生活の悪い習慣がないかを調べましょう。働く環境を整備できないかを考えてみてください。デスク周りや車の運転中のポジションなどです。クッションやタオルなど身近にあるものを使ってできるだけ体に負担がかかりにくい状況を作り出しましょう。
歪みはあなたがこれまで過ごしてきた歴史みたいなものです。いきなりなってしまったわけではなく時間をかけてじっくりと作り上げられたものなので改善にもある程度時間がかかると思っている方がいいです。とくに自分自身でセルフケアで改善しようとする場合は根気よく頑張ってください。筋トレやストレッチと同じようにいきなり筋肉がついたり、体が柔らかくなったりすることはありません。ですが、努力した結果は必ず現れてきます。そして、それは年齢を重ねた時に初めて実感します、「あぁ頑張ってきてよかったな」と。
執筆者 はせべ鍼灸整骨院院長 長谷部俊
鍼灸師 / 柔道整復師 / 柔道整復師専科教員
国家資格である鍼灸師と柔道整復師を取得。
大阪にある整形外科のリハビリテーション科、小児整形外科で従事。
柔道整復師専科教員の資格を取得後、結婚を機に徳島県に帰省し、2009年はせべ鍼灸整骨院を開院。
分院に名西郡石井町にORGANIC鍼灸整骨院 石井院、徳島県板野郡藍住町に徳島藍住整骨院がある。
痛みの施術を専門に年間のべ15000人以上の患者が来院する。
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